白波銀行おひとりさま女子事情
第2話
#乙女ゲーム好きですが、なにか?
「汐里、好きだよ」
「私も、拓海くんのこと…」
言いかけたところで、拓海くんの指が私の唇に触れた。
「そこから先は言わないで」と瞳が言っている。
どうして?
どうして言わせてくれないの?
私だって拓海君のこと、大好きなのに―
―――ピピピピ
突然、静寂を破って電子音が鳴り響いた。
「――…なんだ夢かぁ…」
電子音の正体は、枕元に置いてあるスマホのアラーム音。
「……いいところだったのになぁ…」
思わずそうつぶやきながら停止ボタンをタップした。
ホーム画面には、さっきまで夢に見ていた拓海くんの画像。
昨日の夜も寝る前につい夢中でゲームをやってしまったから、あんな夢を見たのかな。
それにしてもさっきの拓海くん、カッコ良かったなぁ。
……なんて、夢の余韻に浸ってる場合じゃない。
今日は朝一番でお客さんのアポが入っているから、一本早い電車に乗って準備しなくちゃいけない。