白波銀行おひとりさま女子事情

「達成した三名にはプレゼントがあるので、前にどうぞ」

課長に促されて前に出ると、支店長からひとりずつ順番に白波銀行のデザインが施されている小さな封筒が手渡された。

封筒を開けると、中に入っていたのは数千円分の商品券。

モチベーションをあげるための、ささやかなご褒美だ。

「水野さん、目標達成おめでとう! 良かったね」

会議終了後、山崎さんが笑顔で声をかけてくれた。

「ありがとうございます」

ひとりで今の地区を担当するようになってから、目標を達成したのは実は今回が初めてだったりする。

「それにしても船堂さん、エリアでも収益トップなんてすごいよね~。これで長身イケメンだったらなぁ…」

と山崎さんがさも残念そうにつぶやいたその時、

「俺がなんだって?」

後ろから船堂さんの声が聞こえた。

「「なんでもないです!」」

私と山崎さんの声が見事にキレイにハモッた瞬間、ふたりで思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
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