白波銀行おひとりさま女子事情

「なんなんだよ、ふたりして。さては俺の悪口言ってただろ?」

「言ってないですよ」

そう、決して悪口ではない。

山崎さんはただ、願望を口にしただけだ。

「ふ~ん。ならいいけど」

まだ少し疑いの眼差しを向けながらも、船堂さんは自分の席へと戻って行った。

「さ、今日はこのあと新年会だから早く仕事片付けよう!」

「はい!」

山崎さんの言葉に頷いて、私は残っていた仕事に取りかかった。

今日は支店全体で行う毎年恒例の新年会がある。

要するにただの飲み会なのだけど、支店全体の結束をより強くする大事なイベントだ。

「それでは、支店表彰を目指して美浜台支店一丸となって今期も頑張りましょう。乾杯!」

「乾杯!」

支店長の挨拶で、新年会が始まった。

支店から徒歩約十分のところにあるホテルの宴会場を貸し切りにして行うビュッフェ形式の立食パーティースタイル。

乾杯が終わると、みんなが一斉に料理を取りに中央のテーブルへ集まる。
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