白波銀行おひとりさま女子事情

「お孫さんのための教育資金にしたいということなら、こちらがお薦めですよ」

「あら、そうなの?」

「はい。まだ始まったばかりの商品ですが―」

一通り説明を終えると、「ありがとう。ぜひ、娘とも相談してみるわ」ということで、また来週アポを取ることになった。

「瀬戸さん、どうだった?」

自分の席に戻ると、私の隣の席でPCに情報入力をしている清水さんに訊かれた。

「来週アポ取れました」

「そっか、良かったね。瀬戸さん、山崎さんのことかなり気に入って下さっているみたいだしね」

清水さんは、私より二つ上の先輩だ。

明るく気さくで、初対面の人とすぐに打ち解けられる清水さんは、お客様ともすぐに仲良くなって盛り上がっている。

瀬戸さんも、もともとは清水さんが地区担当していたお客様だ。

去年の秋から、私が清水さんの地区担当のお客様を少しずつ引き継いで、アポから商品提案、契約までの流れをひとりでこなせるように勉強している。

「山崎さんも色々な商品を成約できるようになったね」

「まだまだですよ。ホント毎日いっぱいいっぱいで……」
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