白波銀行おひとりさま女子事情

お寿司、パスタ、サラダ、ケーキ。

とりあえず少しずつお皿に乗せて最初に乾杯したテーブルへ戻る。

「美味しい!」

さすがホテルの宴会場で出す料理だけあって、しっかりした味付けだ。

仕事で疲れてお腹が空いていたから、どんどん食べたくなる。

「相変わらず色気より食い気だな、水野は」

ひとり黙々と料理を食べていたら、後ろから声をかけられた。

「船堂さん、相変わらずは余計なんですけど」

「いや、ホントのことだろ」

私の場合、色気より食い気より乙ゲーなんですけどね~とはさすがに言えないけど。

「早く食い気より色気になれるように頑張れよ」

「なんですか、その絶対彼氏いないだろ発言」

「え、もしかしているのか?」

「もしかしなくてもいませんけど」

「やっぱりな」

「うわ、超失礼!」

「なんなら俺とつきあう?」

「え!?」

「なんてな」

そうだよね、冗談だよね。

今一瞬ドキッとした自分が恥ずかしい。
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