白波銀行おひとりさま女子事情
「水野、必死過ぎ。別に俺何も言ってねぇじゃん」
私の動揺ぶりを見て、船堂さんが笑い出した。
墓穴掘ってどうする私!
「へぇ、でもそっか、水野さんはこういうのが好きなのか~」
そう言いながら不敵な笑みを浮かべた船堂さん。
よりにもよって船堂さんにバレるなんて、最悪。
「ちょっとお手洗い行ってきます」
船堂さんからスマホを返してもらって、私は逃げるように部屋を出た。
明日から船堂さんにネタにされたらイヤだな。
やっぱり電車に乗るまで我慢すれば良かった。
化粧室の鏡に映る自分の姿を見ながら、思わず大きなため息をひとつ。
お酒のせいで明日には記憶がなくなることを願おう。
軽く化粧直しをしてみんながいる部屋へ戻ろうとドアを開けると、誰かにぶつかりそうになった。
「すみませ……」
「水野さん?」
謝りかけたところで名前を呼ばれて顔を上げると、目の前にいたのは船堂さんだった。