白波銀行おひとりさま女子事情
「――俺が初めての相手になろうか?」
突然真剣な声で言われた言葉。
――は!?い、今、なんて?
数秒考えて、熱くなる頬と速度を増していく鼓動。
「あれ? フツメンの俺にはときめかないんじゃなかったっけ?」
船堂さんが意地悪な笑みを浮かべて言う。
「と、ときめいてません!!」
急にヘンなこと言うからビックリしただけで、船堂さんにときめくとかありえません!
「俺はいつでも大歓迎だから、その気になったらどうぞ」
その気になんてならないし!
「全力で遠慮します!」
船堂さん、どうみても酔ってます、本当にありがとうございました!
「――汐里ちゃん、遅かったね? 大丈夫?」
部屋に戻ると、清水さんに心配そうな表情で訊かれてしまった。
「大丈夫です」
「ホント? なんか顔赤いよ?」
「ちょっと、飲みすぎちゃったかも」
あはは、と笑ってごまかしたけど、頭の中ではさっきの船堂さんの言葉がぐるぐる回っている。
あれは酔った勢いで言った言葉なんだから、本気にしたらダメだ。
どうせ明日になったら覚えてないんだから。
そう自分に言い聞かせながら、二次会は終了した。