冷徹の先にー司と紗奈ー

第2章 - 冷徹な戦い
放課後、紗奈は初めて校庭での戦いを目の当たりにした。ヤンキー高校では、弱い者が淘汰される世界だと聞いていたが、その真実を目の当たりにするのは初めてだった。
二人の男子が、勝負をかけて言い合っていた。言葉が激しくなり、ついにその場で殴り合いが始まった。周りの男子たちは、その戦いをただ見守るだけだった。勝者が強い者となり、負けた者は何も言わずに去っていく。結果がすべての世界だ。
その場を離れようとした矢先、紗奈は突然呼び止められた。
「お前、見てるだけか？」
振り返ると、そこにはあの冷徹な目を持つ司が立っていた。彼は無言で彼女を見つめ、その目の奥に何かを探しているような、冷徹ながらも深い感情を感じさせた。
「勝者が全て。」司は短く言った。「負ければ、すぐに消える。それがこの学校のルールだ。」その言葉に、紗奈は何かを感じた。彼が言う通り、勝者だけが生き残り、トップに立つ。それがこの学校の現実だ。
「私、弱い者にはなりません。」紗奈はしっかりと目を合わせて答えた。
司は一瞬、紗奈をじっと見つめた後、冷たい目を少しだけ和らげた。「その目、いいな。」そう言って、司はまた冷徹に振り返り、去っていった。紗奈はその背中を見送りながら、自分がこの学校で何を成し遂げるべきなのか、強く思った。