求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「そうなんですかっ!」

 希望が見えた私が目を輝かせると、団長は苦笑いをして首を横に振った。

「いや、この竜舎は特別な結界が張られていてな。成竜は入ることは出来ないんだ。さきほど、俺もこれを運んでみようと思ったのだが、触ることも出来ない……そういった特殊な結界のようだ。となれば、この建物自体を壊すか……そういう選択肢を。選ばざるを得なくなるようだ」

「そんな……」

 団長の光の繭についての淡々とした説明を聞いて、私は絶句してしまった。建物を壊す……? 確かにルクレツィアをここに連れて来ようとすると、そうなってしまうだろうけど……。

「いや、まだ……俺はそうしようと決めた訳ではない。だが、最終的にはアスカロンの命を優先する事になる」

 アスカロンは特別な、神竜同士の子。この子の命を最優先に考えるのは、仕方のない事なのかもしれない。

「あの、竜舎を取り壊すとなると……今居る、子竜たちは……?」

 建て直せば良いとは言うものの、ここで今、安全に育っている子竜たちは、どうなってしまうのだろう。

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