求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
私はこれからの自分の身を思い落ち込んでいるというよりも、あり得ない状況の把握に時間を掛けているのだけど、リシャールがそう思っても仕方ないことだ。
だって、貴族令嬢として生きてきた私は、これまでに働いたことなんてもちろんないし、住む部屋だって借りたことがない。
それを、これからはどうにかしなければいけない。だから、リシャールは自分は貴族学校に戻ることを止めて、私と共に働き生きていくと言い出したのだ。
「まあ……駄目よ! リシャールは、貴族学校を卒業しなくては」
私は慌てて彼を止めた。グレンジャー伯爵家の跡取り息子であり、輝かしい未来が待つ弟のお荷物になんて、なる訳にはいかない。
とにかく、ここはリシャールを、もう少しで迎えに来てくれるはずの馬車へと乗せなければ。
「姉様。とは言っても、名ばかり貴族が貴族学校を出たところで、何の役にも立たないんだ。父様は借金を返すとは言ったけれど、とても返せそうにないほどにとんでもない金額なんだよ。お嬢様育ちで何も出来ない姉様を、世間の荒波に一人で放り出すなんて、僕に出来るはずがないだろう」
だって、貴族令嬢として生きてきた私は、これまでに働いたことなんてもちろんないし、住む部屋だって借りたことがない。
それを、これからはどうにかしなければいけない。だから、リシャールは自分は貴族学校に戻ることを止めて、私と共に働き生きていくと言い出したのだ。
「まあ……駄目よ! リシャールは、貴族学校を卒業しなくては」
私は慌てて彼を止めた。グレンジャー伯爵家の跡取り息子であり、輝かしい未来が待つ弟のお荷物になんて、なる訳にはいかない。
とにかく、ここはリシャールを、もう少しで迎えに来てくれるはずの馬車へと乗せなければ。
「姉様。とは言っても、名ばかり貴族が貴族学校を出たところで、何の役にも立たないんだ。父様は借金を返すとは言ったけれど、とても返せそうにないほどにとんでもない金額なんだよ。お嬢様育ちで何も出来ない姉様を、世間の荒波に一人で放り出すなんて、僕に出来るはずがないだろう」