求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「……単純にユーシスが自分より、竜力が強いからだと思うよ。次の国王になられるシャルル殿下の次に、ユーシスは竜力が高いからね。だから、これっていわゆる暗黙の了解なんだよ。そうでなくては、絶対におかしいよねって、そういう話」

「暗黙の了解? って……どういう事ですか?」

 セオドアは不思議に思って質問した私に意味ありげな視線を向けて、人差し指を唇に当てた。

 これから言うことを……内緒にしろということ?

「だからさ。ユーシスはどう考えても、とても濃い直系王族の血を引いている誰だかの、落とし胤って事。一応はカートライト侯爵家の養子だと言うことにはなっているけど、持っている強い竜力は隠せないからねー……しかも、国王からもアレイスター竜騎士団を任されるほどに重用され、よりにもよって神竜ルクレツィアに選ばれたから、ジルベルト殿下の嫉妬心に火を点けたんだよ」

「……それは、あの」

 私は言葉の先を、どう言えば良いか迷った。だって、どれも全部、団長が悪い訳ではないのに……。

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