求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「国にとっても、自分にとっても、大事な子竜の命を危険に晒したと、ユーシスが怒られるところまでは私もわかるんだよ。それは、ユーシスが責任者のアレイスター竜騎士団で起こった事だし、あの子もそれは覚悟の上で報告書をあげたと思うからね。けど、ユーシスが特に毛嫌いしているノーラン侯爵令嬢との縁談を受けるように圧を掛けるなんて……本当に、騎士、いや王族の風上にもおけないよ」

「えっ……そんな……」

 先ほどセオドアは団長が幼い頃から、事ある毎に迫られて、貴族令嬢というだけで女性を嫌っていると言っていた。

 今思い返すと、初対面の時に私の事を睨み付けていたのも、それが原因だったのだろう。

 ……けれど、私には本当に団長に近付こうという意志はなく仕事を得たかっただけだと理解して貰えたから、普通に部下として扱って貰えるようになった。

 あれだけ『貴族令嬢』という肩書きだけで、過剰に警戒してしまう事になった団長が、嫌っている女性との縁談を受けるようにと要求されているなんて……。

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