求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 潤んだ視界で笑いかけていたはずのアスカロンの頭にぽたんと涙が落ちて、可愛い子竜はびっくりした顔になった。私は泣くことを我慢出来なくなって、小さな身体を抱え上げた。

「……貴方ももうすぐ、飛行訓練に行くんだよね。早く飛べるようになると良いね……少しだけ、さみしいけど」

「キューキュー……キュー」

 胸に抱いたアスカロンは心配して泣いている私を慰めてくれているのか、小さな前足で私の身体を摩ってくれた。

 団長はきっと誰の前でも泣けないのに、私はどうしても我慢出来なくて、守るべき存在の前で泣いてしまった。

 なんて、情けないの……。

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