求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「……え? あ……ライル。私、今、立ったままで夢を見ていたのかしら。お父様が一時的にディルクージュ王国の貴族の爵位を抵当に入れお金を作り、カジノで大儲けするから心配するなと、書いてあった手紙を読んでいた気がしたんだけど」

「ああ……!! 旦那様! うら若き乙女であるお嬢様を、たった一人で置いて行っただけでは飽き足らず……なんということを……!」

 そう言って絶句したライルの愕然とした表情を見た私は、これは夢ではなかったと悟った。

「……ライル。これは、夢ではなく現実なのね」

「お嬢様……俺には、なんと言えば良いのか。アレイスター竜騎士団の、子竜守は……」

 淡々と聞いた私の問いに答えるライルは言葉の先を濁して、何も言わなかった。

 ……ええ。何が言いたいか、私にもわかっているわ。貴族でなくなって仕舞えば、私はここに居られなくなる。

「ライル。とにかく、まだ爵位を抵当に入れるまでに、日にちには猶予があるようなの。それまでに、次の仕事先を探すわ」

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