求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 もう……本当に、なんて事をするのかしら。

「ありがとうございます……私も足元を見ずにこんなことをしてしまって、本当にごめんなさい」

 故意ではないとは言え、彼の身体の上に倒れ込んでしまった私が再度の謝罪をすると、団長は苦笑いして首を横に振った。

「いや、俺もアスカロンが飛行訓練初日だからと、ここに隠れて居たから狙われたんだな。子竜だしあの子は特別やんちゃな性格のようだ。どうか、気にしないでくれ」

「はい。ありがとうございます……団長は本当に、アスカロンの父親のようですね。ジリオラさんも良く言ってますけど」

 彼は勤務中のはずなのだけど抜け出して、ここに自分が来てしまうくらい心配だなんて……やはり、自分の竜の子というのは、竜騎士にとって特別な存在なのかもしれない。

「ウェンディ……なんだか、元気がないようだが、何かあったのか?」

「え……」

 すべてを見透かすような団長の青い瞳の眼差しは揶揄うような光はまるでなく真っ直ぐで、私はここでどうすべきかと迷ってしまった。

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