求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 これまでにも私のせいで大変な思いをさせてしまった団長には余計な心配を掛けたくはないとは思うけれど、もうすぐ貴族の身分を失い子竜守を続けられないと、近い将来には言わねばならない。

 それに、団長は私の働きぶりに関しては、ちゃんと認めてくれていたと思う。だから……いつか話さないといけないのなら、今が一番に良い機会かもしれないと私は結論を出した。

「あの……私。アレイスター竜騎士団の子竜守を、辞めなければならなくて」

「理由は?」

 団長はあくまで冷静で質問に、辞める理由を純粋に知りたがっているだけのようだった。

「……父が、貴族位を抵当に入れて、お金を借りて……異国のカジノに挑むと」

 言いづらい事実に私が俯きながらそう言うと、団長は視線を空に彷徨わせ軽く息をついて言った。

「……君の家族だから、あまり悪くは言いたくはないが……それは、俺にはあまりにも分の悪い賭けに思えるな……」

 団長は私の気持ちを思いやりかなり言葉を選んで、そう言ってくれたようだった。

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