求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 私が子竜たちの声が聞こえるようになるなんて。竜力の強さは生まれ持ったものだから、私には一生聞こえることはないんだろうなんて、そう思って居たけれど……。

 嬉しい……これからは、彼らが何を言っているのか、言葉が理解出来るんだわ。

「おや、ウェンディ」

「は、はい!」

 子竜たちが話していることを理解出来て感動していた私は、後ろからジリオラさんに話しかけられて、振り向き驚いて過剰な反応をしてしまった。

 普通に声を掛けただけの彼女も、驚いた表情で目を見開いている。

 ……しまった。このままだと、変に思われてしまう。

「どうしたんだい? ……何かあったのかい?」

 心配そうな彼女の問いに対し、私はどう答えようか、迷ってしまった。

 えっと、子竜の話がわかるようになって、感動していました……? けど、それは団長と契約とは言え結婚をしたからで……ジリオラさんだとしても、これは、言わない方が良いよね……?

 だって、アレイスター竜騎士団は、恋愛禁止だもの! 団長本人が、そんな規則を破れる訳がない。

「すっ……すみません。少しぼーっとしていて、驚いてしまった」

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