求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「良いねえ。君ってとっても良いよ。ウェンディ。付き合わない?」

「もうっ……私の話、聞いてました?」

 ちゃんと断ったはずなのに、より楽しそうになったセオドアに、私は呆れてしまった。これ以上、何を言えば止めて貰えるの?

 こういうところがなければ、顔も良くて育ちも良くて、仕事も出来る素敵な副団長なのに……本当に残念な人。

「……おい。セオドア。いい加減にしろ。既に振られている」

 そこに偶然通りかかったらしい団長が、立ち止まっている私たちに声を掛けて歩いて行った。

 どこからか、私たちの話を聞いていたかもしれない。急いでいるのか、立ち止まることなく、いつもより早足だ。

 私がなんとなく団長の背中を目で追い掛けていたら、セオドアが顔を私の耳に近づけて囁いた。

「ねえ。ユーシスは駄目だよ。ウェンディ。前にも言ったけれど、ここは恋愛禁止という規則があるからと、陛下にアレイスター竜騎士団に入団を頼み込んだくらいに女嫌いだからね」

 実は現在の私は、そんなユーシス・カートライトの妻なのだけど、もちろん、セオドアに言ってしまう訳にはいかない。

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