求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 純粋な性格のライルは私の言葉を疑うことなく嬉しそうに頷き、にっこりと微笑んだ。

「ええ。そうなの。ごめんなさい。お父様の暴走で、心配を掛けてしまって」

 ライルはうちの父がどんな性格なのかを良く知っているので、苦笑して頷いた。

「いえいえ。お嬢様がここに残ることが出来たので、本当に良かったです! グレンジャー伯爵邸の使用人仲間にも、お嬢様が出来そうな仕事を紹介して貰おうと思ってはいたのですが、慣れた仕事を辞めることなく続けられることが一番ですから……」

「ええ。本当にそう思うわ。ありがとう。ライル」

 私はほっと安心したライルの言葉に頷いた。

 私はアレイスター竜騎士団には三ヶ月間ほど居て、食堂で働く女性たちとも仲良くなっていたし、また新しい環境に慣れなければならないと考えるとどうなることかと怖かった。

 けれど、団長が契約結婚を提案してくれたおかげで、ここで働き続けることが出来るんだわ……彼には感謝しかない。

「そういえば、団長の噂を聞かれました? お嬢様」

「え? ……どんな噂かしら?」

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