求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 団長は私と結婚したけれど、何か悪いことをしている訳ではない。だから、堂々としていることが、きっと一番良い事なのよね。

「うちの団長。実は女性嫌いなんですけど、お嬢様には特別お優しいと噂だったんですよ。俺は団長とお嬢様が纏まれば、それが一番良いかなと思って居たんですけど……」

 ほんの一瞬だけ、ライルはもしかしてすべてを知っていて、内心バレてしまわないかドキドキしている私を揶揄っているのかもしれないと思った。

 けれど、そんなはずはないと思い直した。単に私が心にやましいものがあるからという、考え過ぎだった。

 ライルは単純に私と団長が結婚したら良いと思っていたけれど、団長が結婚してしまったからそれは叶わなくなったと、残念がっているだけよね?

 ……困ったわ。誰かにこんな風に何か隠し事をしたことなんて今までなかったから、こんなにも疑心暗鬼になってしまうなんて思わなかった。

「……団長は、私にはもったいないわよ」

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