求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 子竜たちは飛行訓練にも慣れて、最近は日中はずっと草原で過ごすようになって来た。

 食事もいよいよ二回に減り、子竜守としてのお仕事もだんだんと楽になって来て、私は空いた時間に新人たちがやってくれていた洗濯物を手伝っていた。

 代々、子竜守たちが、なぜこの白い木綿の服を着ているのかが洗濯物をする時に良くわかった。漂白と消毒を兼ねた薬剤に付けると、布は真っ白になった。

 こうすると色が付いていても、抜けてしまうから、元より白で用意していたのだろう。

 そして、洗濯物を干し終わると、緑の芝へと寝転んだ……団長は良く草原で寝転がっているようだけれど、視界が青い空一杯になって、これまでに見た事のない綺麗な景色だった。

 もし、私がグレンジャー伯爵令嬢ウェンディとして、順調に生きて居たら、この景色を見ることは叶わなかった。

 ……今の私にはもう、こんなことをして行儀が悪いと叱ってくれる人も誰も居ないもの。

 視線を落とし青い空に揺れる白い服を見て思い出してしまうのは、私が社交界デビューするために用意していた、あの白いドレスだ。

< 151 / 215 >

この作品をシェア

pagetop