求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「まあ。大丈夫よ。私は誰かにいじめられたりしていないわ。あの時は、団長にお世話になっているのに、私は何も返せなくて辛かったのよ。けど、もう大丈夫よ」

 それに、私と契約結婚することによって、団長は嫌な相手との結婚を迫られることもなくなった。

 お互いの利害一致の上での……契約結婚だもの。

「ユーシスがウェンディに、そうして欲しいと求めたの? もし、そうだったなら、僕はあいつに決闘を申し込むつもりだよ」

 アスカロンは可愛い顔を好戦的にして言ったので、私はどうしても我慢出来なくて笑ってしまった。

「団長は求めたりなんか、していないわ。私が勝手に思っただけなの。だから、団長は何も悪くないのよ」

 これまでぽよぽよとした歩き方をしててそこに居るだけで可愛かったのに、今ではこんな会話をすることが出来るなんて……私は話の内容はどうあれ、アスカロンと会話することが出来て感動していた。

 この可愛い存在を私がここまで育てたという、良くわからない自負だってあった。

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