求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「……ふーん。けど、ウェンディはあの時に泣いていたし、ユーシスが悪いんだ。僕は何度も優しくしてあげて欲しいって言ったんだよ。それなのに」

「アスカロンが私に優しくして欲しいって、言ってくれていたの?」

 これまでに聞いたことのない、初耳の情報を聞いて、私は驚いた。そういえば、ここで見る団長はアスカロンに何か求められているように、頭を撫でていたけれど……。

「うん……お母さんも、すごく心配していたよ。ウェンディ。君は守られなければならない存在なのに……」

 竜は直接会わなくても意志を伝え合うことが出来るらしいので、アスカロンはルクレツィアと私の話をしたりしていたらしい。

 ルクレツィアは私と会った時、とても心配してくれていたものね。

「……ありがとう。そう言ってくれて、嬉しいわ。アスカロンのお母さんは、本当に美しい神竜だったわ。神々しくて……優しくて」

「そうなの? もうすぐ会えるから、会いたいなー……皆との、飛行訓練も楽しいけどね」

 私はアスカロンを床に下ろしてあげると、羽根を羽ばたかせ宙にふわふわと浮いた。

「そうね。飛べるようになったら、巣立ちだもんね……」

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