求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「ウェンディお嬢様……」

 頼み込んだ私を見て、ライルは切ない眼差しになった。

 貴族として生きて来た私が平民のように身を粉にして働く覚悟を決めたことを、幼い頃から知っている彼には、とても複雑な思いを抱いているのかもしれない。

「これまで貴族令嬢として暮らして来た姉様が、平民として一人で生きていけるなんて……そんな事が出来るはずがないよ」

 リシャールは必死に言い募った。それは事実だけれど、偶然ここに居てくれたライルが助けてくれれば可能かもしれない。

「それでも……そうしなければ。借金だって、お父様一人に返せる訳がないほどの金額なのだから、私だって働くべきだもの」

 見つめ合ったリシャールの眼差しは絶対に引き下がらないと言わんばかりだったけれど、そんな私たちの耳にはライルの落ち着いた声が聞こえた。

「ウェンディお嬢様。事態はわかりました。僕が今所属しているアレイスター竜騎士団に共に行きましょう。お嬢様が僕と同じ場所で働いているのであれば、リシャール様だって安心して貴族学校に行けるのではないですか?」

「まあ! ライル! ありがとう」

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