求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 そう言ってジルベルト殿下は待って居たウォルフガングに飛び乗ると、柱に隠れていた私を一瞬だけ見たような気がした。

 きっ……気のせいよね。

 大きな風切り音とともにウォルフガングは空へと舞い上がり、私は高鳴る胸を押さえていた。

 とても大事だから……とか、愛しているから……とか、殿下に諦めてもらうための方便だと知っていても……私のことを言っているように、勘違いしてしまって……。

 いけない。団長と私は……ただの、お互いに利害が一致した……そんな契約結婚をしただけだというのに。

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