求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 私は団長の話を聞いて、素直にそう思った。こうして働くようになって知ったことだけれど、やりたいこと好きなことを仕事にしている人は、いきいきとして楽しそうだ。

 もちろん、事務作業が好きだったり、誰かと話すことが好きだったりと、仕事の向き不向きはあるだろうけれど、やりたいと思った仕事先に付けるならば、それが一番良いだろうと思う。

「子竜守の仕事もそろそろ落ち着いて、昼に時間があるだろう? ウェンディにはその娘さんにサイズを測ったり、ドレスの仮縫いをする試験の練習台になって欲しいんだ」

「もちろんです! 私で力になれるのなら、とても光栄ですわ」

 団長のゆかりある娘さんの夢のお手伝いが出来るなんて……幼い頃からドレスを着ていたから、サイズを測ったり仮縫いをして貰う経験なら、何度もあるからお客役は上手くこなせるはずだもの。

 私もここに雇って欲しいとお願いして待って居る時、心臓が飛び出そうなくらい緊張をしていた。少しでも彼女が採用される可能性を上げる手伝いなら、いくらでもしたいと思う。

「引き受けてくれて、ありがとう……また、日付や時間が決まったら連絡するよ」

「はい」

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