求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 ジリオラさんはそう言って苦笑いして、私にもうアスカロンの部屋へと行くように言った。

 風邪をひいてしまったアスカロンは、ぶるぶると身体を震わせていた。私は小さじでその口に、そっと薬入りのミルクを入れた。

 夜半過ぎ、アスカロンがようやく喋ってくれた。

「……そのミルク、とんでもなく不味いんだけど……どうにかならないの?」

 これまでぐったりとしていて、喋る気力もなかったんだろうけれど、ミルクの味に文句を付けるようになったのなら、かなり良くなってきたのかもしれない。

「けど、風邪を治すために必要なことよ。アスカロン。少しずつでも良いから、飲んでくれる?」

「……嫌だなあ……けど、この、気持ち悪いのが続くのは、もっと嫌だなあ……」

 アスカロンは文句を言いつつも、それから少しずつミルクを飲んでくれるようになり、朝方には震えもおさまり、くうくうと寝息を立てていた。

 深い眠りで当分眠ってくれるだろう。

「……良かった! これで、大丈夫ね」

 ほっと安心した私はその場から立ち上がり、ふらっとした強い目眩を感じて身体を支えきれず、その場に倒れてしまった。

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