求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「しかし、ライル……姉様は、働くことなど」

 祈るように両手を組んで喜んだ私とは対称的に、リシャールは難しい顔をしたまま眉を寄せていた。

「ええ。リシャール坊っちゃま。そういったご心配については、僕とて重々わかっております。しかし、旦那様はこの場に居らず、坊っちゃまとて残ろうがお嬢様の保護者にはなれません。ウェンディお嬢様をお手伝いすることは平の僕の権限では出来ませんが、竜騎士団で働けば安全ではあります。これからの事を考えれば、それが最善かと」

「ライル……坊っちゃまは、いい加減にやめてくれ。僕はもう十四だ。アレイスター竜騎士団内部に居れば、それは確かにその身は安全だろう。だが、姉様は貴族令嬢だ。満足に働けるとは思えない」

 リシャールは私を竜騎士団で働かせることについて、難色を示していた。

「……リシャール様。今の状況を、良くお考えください。ウェンディお嬢様は、リシャール様がこれからも共にあろうが、どちらにしても働くことになるのです。お嬢様の負担になられるのが、リシャール様のお望みなのですか」

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