求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 私と団長は契約結婚をしているけれど、婚姻の儀は正式なものだ。

 それに、私は団長と結婚したことによって強い竜力が得られているのは、アスカロンや他の子竜の言葉が理解出来ることからも、それは確実だった。

「ありがとうございます……」

「いや。俺も許可を得ず、肌に触れてしまってすまない」

 団長は紳士的に謝ってくれたけれど、いやらしい触り方でもなかったし、私を助けるための医療行為であったというのなら、彼は何も悪いことはしていない。

「あの、アスカロンは?」

「君のおかげで、すっかり元気だ。今日の昼間は飛行訓練にも参加して、楽しそうにしている」

「……良かったです」

 私はほっと胸をなで下ろした。けれど、おそらく私は倒れてしまってから、半日は眠ってしまっていたようだ。

 なにげなく窓を見れば、朝だったはずなのにとっぷり日は暮れていた。

「だが、あまり……無茶はしないでくれ。君が倒れた時に、胸が苦しくなった」

「え?」

 彼の言葉の意味を理解出来ずに戸惑う私に、団長は説明してくれた。

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