求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「……自分から、したい事を諦めてはいけない。社交界デビューだって、君がしたいと思えば出来る。俺が連れて行っても良い。断れない縁談を持ちかけられ困っていた俺と、契約結婚をしてくれたお礼に」
団長は手を握ってそう言ってくれたけれど、それはただの気休めだった。
……私は持参金のない、貴族令嬢。それだけで、まともな嫁入り先は見込めない。
しかも、結婚相手はグレンジャー伯爵家の借金を、肩代わりしなければいけないのだ。まだ、学生のリシャールの教育資金だって。
持参金がないというだけならまだしも、私を娶れば、あまりにもお金が掛かってしまう。
……だから、私は自分の結婚は諦めるしかないと、もう理解しているし、なにもかも諦めているのだ。
「没落したグレンジャー伯爵家の、私なんて、もう誰にも……踊って貰えないかも、しれないです」
視界が潤んでひと粒の涙が、私の手を包んでくれていた団長の手の上に落ちてしまった。
ああ……どうしてだろう。いつになく、弱気になってしまった。
団長は手を握ってそう言ってくれたけれど、それはただの気休めだった。
……私は持参金のない、貴族令嬢。それだけで、まともな嫁入り先は見込めない。
しかも、結婚相手はグレンジャー伯爵家の借金を、肩代わりしなければいけないのだ。まだ、学生のリシャールの教育資金だって。
持参金がないというだけならまだしも、私を娶れば、あまりにもお金が掛かってしまう。
……だから、私は自分の結婚は諦めるしかないと、もう理解しているし、なにもかも諦めているのだ。
「没落したグレンジャー伯爵家の、私なんて、もう誰にも……踊って貰えないかも、しれないです」
視界が潤んでひと粒の涙が、私の手を包んでくれていた団長の手の上に落ちてしまった。
ああ……どうしてだろう。いつになく、弱気になってしまった。