求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 ……よし。大丈夫よ。ウェンディ。お母様だって、亡くなる前に良く言ってらっしゃったわ。

 鏡の前で、自分の前で、笑顔になれるなら、きっと大丈夫だと。


◇◆◇


「今、忙しい時期ではないから、自分がウェンディの代わりをするって言ってね。勝手に色々とやり出したんだよ……まあ、私は男手があるから、助かってはいるけど」

 倒れてしまった私は目を覚ました次の朝、いつものように竜舎へと出勤しようとしたら驚いた。団長が朝のミルクを飲んだ子竜から空の瓶を受け取り、リボンを外しては違う色のリボンへと付け替えていた。

「え……団長が、子竜守を?」

 信じがたいけれど、アレイスター竜騎士団団長が、つまり、最高責任者が、私の仕事を替わってくれていた。

「ああ。まあ、今はだいぶ育っているから、ここへ男性が一日居るくらいどうって事はないだろうけどね。ウェンディ、せっかくユーシスが代わりにやってくれるって言っているからね。今日は一日、休んだらどうだい?」

「あの、良いんでしょうか?」

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