求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。


「ウェンディ。良い? 見ててよ」

 柵の上に乗ったアスカロンが私の方を見てそう言ったので、私は何度か頷いた。

 ぴょんっと飛び降り床に落ちるっ……と思ったら、ふわっと浮いて、アスカロンが室内を飛行していた。

 パタパタと羽根を動かし、竜は羽根の浮力だけで浮いている訳ではないらしいけれど、飛行を始めた時からは比較にならないくらいに飛行時間が延びている……。

「すごいっ……! すごいわ。アスカロン」

「えへへっ。長い時間、飛べるようになったでしょう?」

 飛行を続け最終的には床にぽてんと落ちて、得意げな表情を見せるアスカロン。私はこの子が孵化したすぐ後から、ずっと成長を見守って来たのだ。

 こんなにも大きくなって……という感動の思いは、ひとしおだった。

「完璧ね。アスカロン。もう少しで巣立ちだけど、私にも会いに来てね」

「……? うん。僕は成長しても母さんのところに居ることになるし、アレイスター竜騎士団所属になるんだよ」

「そっ……そうなの?」

 私は驚いてしまった。だって、巣立ったらもうほぼ子竜たちに会えなくなるのかと悲観的に考えていたからだ。

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