求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「うん。巣立つって言っても、僕らはここに居るよ。それに、いつか竜騎士と契約しないといけないから、どこにも行かないけど」

「……私、アスカロンと会えなくなるかもしれないって思って……」

 本当にそう思って居たのだ。竜舎に居る子竜たちだって、とっても可愛いけれど、唯一会話をすることの出来るこの子には特別な愛着を感じていた。

「大丈夫だよ。僕はどこにも行かないよ」

 アスカロンは私に近寄り、足を抱きしめようとしたので、私は彼を抱き上げた。顔を近づけると、向こうから頬擦りをしてくれた。

「どこにも行かない?」

「行かないよ……ん?」

 真っ黒な目を見開いて何かに気がついたという顔になったので、私は不思議に思った。

「……どうしたの?」

「父さんだ。すぐ近くに居る」

 アスカロンは父竜ウォルフガングがどこに居るか、わかるようなのだ。だから、彼が近くに居るということは……。

「……ジルベルト殿下が、ここに?」

「そうみたい。ジルベルト殿下、何かすごく怒っている。けど、父さんも出来るだけ止めたって」

「ごめんね。私行ってくる!」

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