求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。

26 胸騒ぎ

 いきなりやって来たジルベルト殿下がすぐに帰ってしまった後、団長から感謝を受けたジリオラさんは『私が言ってやりたかっただけだから』と笑っていた。

 私も言ってやりたいとは思ってはいたけれど、あれだけの啖呵が切れるのは、ジリオラさんだったからだ。

 ……私では、殿下に帰ってもらうことは、とても出来なかったと思う。

「あの、ジリオラさん。気がついていたんですか……?」

 何を気がついていたかというと、私と団長との二人の間には何かあることを、ジリオラさんは知っていたのだと思う。

 私たちは一日の終わり、子竜守の仕事を終えて、仕事道具を片付けていた。

< 186 / 215 >

この作品をシェア

pagetop