求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「もう……僕はウェンディが思うほど、幼くはないんだよ。なんでも出来るようになっているんだから」

 最近、自立心が強くなってきたアスカロンは、自分が子ども扱いされることを嫌っていた。自分の使った寝藁だって、私と一緒に片付けてくれたりするのだ。

「そうね。ごめんなさい。ふふ。お兄ちゃんになったのね」

 子どもではないという訴えを微笑ましく思った私が彼を床に降ろすと、アスカロンは目に見えて、身体をガタガタと震わせていた。

「わ! ああっ……!! 何、何これ……!!」

「え! どうしたの?」

 今までに見たことのない激しい動きをした子竜に、私は慌ててしまった。

「お父さんが! お父さん……っ! お母さん?」

 ガタガタ震えている身体を自分で抱きしめて、空を見つめているアスカロン。私は彼の様子を見て、何をどうしたら良いものかと思い、動けなかった。

「お父さんが、暴走している……ウェンディ。ここに、向かって来ている。お母さんが、万が一を考えて、皆逃げた方が良いって……」

「……え?」

 私はその時、心臓に鋭い痛みを感じた。

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