求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。

27 咆哮

 ついさっきまで白い雲ひとつない青空が広がっていたはずなのに、暗雲立ちこめる風景に心には嫌な予感が広がった。

 あんなにも震えてしまうほど、ひどく怯えていたアスカロン……それに、団長の危機として、私には見えた風景……ウォルフガングが、暴走したですって……?

 ウォルフガングはジルベルド殿下の竜ではあるものの、彼を知る誰もが気の良い竜として語っていた。

 だと言うのに、突如として暴走してしまうなんて、何があったの……そんなウォルフガングに対抗出来る神竜ルクレツィアは、私たちを守るために必ず出撃したはず。

 ……自分の竜騎士、団長を背中に乗せて。

 私は子竜たちが飛行訓練をする、あの広い草原にまで走った。慣れない身体でいきなり走ったせいだろうか、お腹が痛い。けれど、そんなことくらいで、止まる訳にはいかない。

< 195 / 215 >

この作品をシェア

pagetop