求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 そして、これまで近くで戦いの成り行きを見守っていたらしい、アレイスター竜騎士団の竜たちが一気に集まり、半透明の盾を無数に作り出した。

 ウォルフガングは苦しげに咆哮をしたけれど、身体は自由を奪われ、動くことは叶わなかった。

 ああ……完全に、勝敗は決していた。団長は助かったんだ……良かった。

「……皆。ごめんね。私のせいで、危ない目に遭わせてしまって、ごめんなさい。早く帰りましょう」

 ほっと息をついた私は傍に居た子竜たちを連れて、アレイスター竜騎士団屯所へと戻ることにした。

 この子たちの親が、ああして出て来てくれたならば、子竜守として任せてくれている私は、子竜たちを守らなければならない。

「良いんだよっ。ウェンディ、いつもありがとう」

「ありがとう」

「うまくいってよかったー」

「けど、なんか駄目かもって、思ったよねー」

「ねー。結界って難しいんだね」

「無事で怪我もなくて、良かったよ」

「嬉しいねー」

「あっ……お父さんとお母さんだっ」

「ウェンディ。もう危ないことしないでね」

「早く帰ろう」

「神竜って怒ると怖いんだねー」

「ウェンディって、いのちしらずってやつじゃない?」

「ねー」

「そうだよー」

 私は飛行する子竜たちに髪や服を引っ張られたりしながら、竜騎士団への道を辿った。

 後ろは振り向かなかった。もう大丈夫……危機を脱することが、出来たと確信して。

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