求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「はああ……止めな止めな。ユーシス。これは、流石にあんたのせいじゃないよ。あんなにまで馬鹿な事をするなんて、私も到底思いつきもしなかったし、王族の方々も同じ想いだろうね。まあ、当分反省すれば良いんじゃないかい。正直に言うと私も名前を取ってもらったあれがあるから、馬鹿だけど憎めないのはあるからねえ……」

「私もっ……団長は、悪くないと思います」

 二人はいきなり意見した私を同時に見たので、少し恥ずかしくなった。

「ユーシスも守るものが出来たからねえ。まあ、私は急ぎの仕事を思い出したから、お若い二人で会話を楽しんでおくれ……」

 にやりと微笑んだジリオラさんはそう言い、そそくさとその場を去ってしまった。

「ウェンディ」

「はっ……はい!」

 取り残された私は、居た堪れない思いでいっぱいだった。どうしてだろう……前はこんなに、団長の傍が居心地が悪いだなんて思うこと、なかったはずなのに。

 透き通る青い瞳の、まっすぐな視線。団長は素敵な人だ。ただ容姿が整っているだけではなく、彼の持つ空気……誠実で優しくて、そして、凜々しい。

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