求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「ウェンディ良かったねー」

「嬉しい?」

「二人とも仲良しだね」

「ねー。どうして離れたの?」

「気にしなくて良いからー」

 子竜たちの質問攻めに合い囲まれている団長は苦笑いをしたので、私はこの微笑ましい状況に我慢することが出来なくて大きな声で笑ってしまっていた。


◇◆◇


「良いですか。お父様! もう、絶対に駄目ですよ。カジノでお金を稼げたなんて、奇跡なんですからね! 二度目はもうないんですからね!!」

「わかった……わかったよ! もう、絶対にしないから!」

 つい、三日前にディルクージュ王国へ帰ってきたお父様は、伸びてしまった髪も髭もぼさぼさだった。けれど、アレイスター竜騎士団に迎えに来て、私が令嬢らしいドレスへと着替えると男泣きして大変だった。

 現在の私はというと、爵位を抵当に入れたお金で異国のカジノで大勝ちしたお父様を叱っていた。

 ジルベルト殿下とウォルフガングが暴走した事件から一週間ほど経った時のこと、私のことを迎えに来たお父様に連れ帰られて、アレイスター竜騎士団の皆に別れの挨拶も出来ずに、今ここに居る。

< 204 / 215 >

この作品をシェア

pagetop