求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
それに、子竜たちの巣立ちだって、もうすぐなのだ。子竜守を続ける必要もなく、普通の貴族令嬢に戻るとは言っても、彼らの巣立ちを見届けたいという気持ちは変わらない。
「ああ。それは私も、わかっている。ウェンディ。しかし、お前の社交界デビューの方が大事で先だ。ちょうど一週間後にデビュタントたちが集い王族へ挨拶をする夜会がある。だから、その夜に社交界デビューをしてから、やらなければならないことを片付けてはどうだ?」
「もう……お父様。社交界デビューというと、王族への拝謁もするのよ。私はドレスもなければ、装飾品もないのに」
貴族界への仲間入りという意味合いの強い社交界デビュー時に、既製品のドレスという訳にはいかない。何ヶ月も前からドレスのデザインを練り、それに合う装飾品だって、注文したりもする。
「ああ! わかっている。だから、私はもう既に用意しているんだよ!」
「……用意している。ですって?」
私は一瞬、あの時……父が友人に裏切られ、すべてを失った日に売ったあの白いドレスを思い浮かべた。
「ああ……お前の部屋にすべて用意してある。見ておいで」
「ああ。それは私も、わかっている。ウェンディ。しかし、お前の社交界デビューの方が大事で先だ。ちょうど一週間後にデビュタントたちが集い王族へ挨拶をする夜会がある。だから、その夜に社交界デビューをしてから、やらなければならないことを片付けてはどうだ?」
「もう……お父様。社交界デビューというと、王族への拝謁もするのよ。私はドレスもなければ、装飾品もないのに」
貴族界への仲間入りという意味合いの強い社交界デビュー時に、既製品のドレスという訳にはいかない。何ヶ月も前からドレスのデザインを練り、それに合う装飾品だって、注文したりもする。
「ああ! わかっている。だから、私はもう既に用意しているんだよ!」
「……用意している。ですって?」
私は一瞬、あの時……父が友人に裏切られ、すべてを失った日に売ったあの白いドレスを思い浮かべた。
「ああ……お前の部屋にすべて用意してある。見ておいで」