求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 父はそう言ったので、私は急いで二階へと階段を上がり自室へと向かった。家具などもすべて売り払ったから、お父様は今色々と注文を掛けているらしい。

 だから、ここに帰ってから三日ほどは父の使う執務室にある、仮眠用の小さなベッドで眠っていたのだけど……。

「まあっ……凄いわ」

 私は思わず、声をあげてしまった。

 あの時に失ったあのドレスとは違うものの、幾重にも繊細なレースが重ねられ、ひと目見るだけで高価だとわかるような、美しく可愛らしい白いドレスだった。

 揃いで置かれていた、白い靴に、下着……それに、美しい宝石で飾られた装飾品まで。

「なんだか、高価な物ばかりね。お父様ったら……どれだけ異国で儲けて来たのかしら」

 異国のカジノは一攫千金を狙う者たちを喰っては私腹を肥やす悪魔の住む地獄だとは聞いているけれど、私の父は逆に悪魔の獲物を食い散らかして来たらしい。

 突拍子もないことを仕出かすし、本当に仕方のない人だけど、友人には裏切られてどん底に落ちても助けてくれる友人にも恵まれ……なんだか、運が悪いのか良いのか……本当に、良くわからないお父様だわ。



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