求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「ユーシス? ユーシスはこんな夜会になんて、来るはずがないよ。生肉に集る獣のように、美しいご令嬢があいつに言い寄って来るだろうからね」

「……セオドアも同じくらい素敵なのに、どうして寄ってこないの?」

 私は前々から不思議だと思っていたことを聞くと、彼は楽しそうに笑って頷いた。

「わかっているね。ウェンディ。そう……僕は実はユーシスと同じくらい素敵で、同程度の身分を持っているようでありながら、好みではない女の子には全く優しくないので、あいつほど気軽には寄って来られないんだよ」

「団長は……優しいから、女性に寄って来られるということ?」

 私が思っていた反応ではなかったので戸惑いつつもセオドアに聞けば、彼は鷹揚に頷いた。

「そうそう。ユーシスは自分のことを好きな女の子を、無下には出来ないと思っているんだよ。お互いに時間の無駄なのに。それって、はたして優しさなのかな。僕には良くわからないね」

 ……私が団長のことを好きなら、そんな風に接してくれる優しい人ならば、もっと好きになってしまうわ。

 きっと、そういう事なのよね。

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