求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 私は慌てて自分が纏っているドレスを見た。美しくて華やかで繊細で……そうよ。しかも、私の身体に合うように、サイズも完璧ではなかった?

「もしかして……あの、お針子さんの練習のお手伝いって、」

「そうだ。君を騙してしまうのは気が引けたが、ここで結婚を申し込もうと思っていたから、驚かせたかった……いや、喜ばせたかった」

「すっ……すっごく、驚いています」

 本当に驚いていて、頭の中は真っ白だし、今にも倒れてしまいそう。

 驚いた? 驚いているもちろん。喜んでいるか? この気持ちをなんて伝えれば良いのか、まだわからない。

「それに、夫婦であったなら、アレイスター竜騎士団でも働ける。俺はそうしたい……ウェンディはどうしたい? 俺との契約結婚を、本当の結婚に出来るよ」

 団長は私がこれから、一番にしたいと思って居たことを提案してくれた。

 だって、団長以外の人と結婚したら『アレイスター竜騎士団で子竜守として働きたい』なんて、許して貰えるはずがないもの。

 そうしたい……そうしたけど、でも。

「けっ……けど、今まで、そんな素振りも、言葉も……一度も」

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