求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
「しかし……何のために、今まで長年若い女性を雇わずに、ここまで来たと思っているんだ」

 私を雇ってあげればと言ってくれた彼に、カートライト団長は真面目な顔で首を横に振った。

「それは、前時代的な遺物と言えるあの『恋愛禁止』があるからだろう?」

「……まあ、そうだな」

 渋い表情を浮かべたまま、カートライト団長は頷いた。

「彼女は見るからに真面目そうな性格で、お育ちの良い貴族令嬢だ。僕たちのような竜騎士ならばそれなりの稼ぎを持っているし、もし騎士団の中の誰かと結婚することになり、仕事をすることなく生きていけるようになるならば、彼女にとっても良いことじゃないか。お祝い事だ。誰も困らない」

 まあ……そうなの。恋愛禁止だったのね。全く知らなかったわ。アレイスター竜騎士団。

 私はただ生きていくためにお金を稼ぐための働き先を探していただけで、職場での恋愛を望むなど考えもしなかったから、恋愛禁止であったとしても、それは何の問題もないわ。

「あのっ……私は恋愛なんて、するつもりはありませんし……他の方々に迷惑をかけぬように、一生懸命に働きます。だから、どうかお願いします。私を雇ってください!」

 私は両手を組んで祈るようにお願いして、彼ら二人は黙ったままで、互いの意志を確認するように目を合わせた。



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