求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 そんな悲劇があったのだから、少々行動がおかしくなっても仕方ないのよ。突如として、家族解散宣言をしてしまうくらいね。

 私は彼らが下す決断を待って、とても緊張していた。

 ここでカートライト団長に断られてしまう事だって、容易に考えられた。雇ってもらいたいけれど、それは私の希望だし、彼らはそれを受け入れなければならないという決まりはない。

 やがて、カートライト団長と共に居た金髪の男性が一人で応接室へと現れた。

 いよいよ……雇ってもらえるかどうか、判明するのね。

 緊張で両手を握った私を安心させるようにして、彼はにこやかに微笑んだ。

「……団長ユーシスは貴女をここで雇っても良いと、言っておりました。良かったですね。グレンジャー伯爵令嬢。僕はセオドア・オブライエン。アレイスター竜騎士団の副団長を務めております。どうぞお気軽に、セオドアとお呼びください」

 先ほどカートライト団長の背後に居た彼は、副団長だったようだった。

「私もウェンディで構いません! セオドア様。私の希望にお口添えしていただきまして、本当にありがとうございました」

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