求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 私はパッと立ち上がり、背の高い彼に何度か頭を下げた。

 ……良かった! これで、アレイスター竜騎士団で私も働くことが出来るわ。

 これは働くことについてのほんの第一段階目突破だとわかっているけれど、さっきまで九割方断られてしまうのではないかと不安だったから、感極まって思わず涙目になってしまった。

 私にとってはこの上ない安全な働き先よ。ここを紹介してくれたライルだって、居てくれるもの。彼を頼れるというのも大きいわ。

「様は要りませんよ。ウェンディ。それでは、僕らは同僚ということになりますね」

「あ……では、セオドア副団長ですか?」

「いえいえ。セオドアで構いませんよ。僕も、ウェンディと同じなのですから」

 私は彼の意味ありげな言葉を聞いて、首を傾げた。竜騎士は貴族の血を持っているか、それとも、王族の血を持っているかに限られる。

 そういえば……さっき聞いた、彼の名前のオブライエン……オブライエンというと、あの公爵家の?

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