求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 私は可愛い存在が無数に居る空間にうっとりとしてしまい、思い思いに動き回る子竜たちを見つめた。

 竜は竜だとしても、まだ体が大きくなり切ってないせいか固い鱗はなく、ぽよぽよとした柔らかな質感の大きな鱗らしきものに身体を覆われていた。

 子竜たちが思い思いに転がっている中を縫うようにして速い速度で歩き、せっせと無言で働いている中年女性は慌ただしく新しい寝藁を運んだり、荷台に載せた白いミルクが入った硝子瓶を入れ替えては、次の子竜に渡したりしていた。

 あ。それに、子竜たちの首に巻かれていたリボンの意味を、ここで知ることが出来た。

 彼女は空っぽになった硝子瓶を回収する際に、首に巻かれていたリボンを回収し、腰に付けた小さな鞄から取り出した違う色のリボンに入れ替えていたのだった。

 先ほどは赤いリボンを巻いていた子竜たちは、飲み終わり今は紺色のリボンを巻かれていた。

 こんなにもたくさん子竜が居るのだから、誰がミルクを飲んで飲んでないかを覚えていられないから、飲んだ子竜のリボンを取り替えをしているようだった。

 だから、皆……可愛いリボンを巻いていたのね。

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