求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 万が一にも、子竜の首を絞めてしまわないようにと、食事を終えたことのわかるリボンには様々な工夫が施されているのだ。

「良いかい。ウェンディ。子竜は人の子よりも授乳回数が少ないとは言っても、油断は出来ないんだよ。どんな生き物でも赤ちゃんは栄養補給を怠ると、すぐに弱ってしまうんだからね」

「はい。わかりましたっ」

 慣れた無駄のない動きで、子竜たちに食事させることの出来るジリオラさん。

 対して私は、これまでした事のない初めてのことだらけ。全く慣れてはいないから、彼女があげたミルクを飲み干した子竜から硝子瓶を取り上げ、リボンを変えるだけでも今は精一杯だった。

 子竜たちの夕方の食事を済ませて、私はジリオラさんが持って来てくれた軽食で夕食を済ませ、一度座れば立てないくらいにまで、へとへとになってしまった。

 子竜守は幼い竜を扱うので気も使うし、体力的にも大変な仕事だ。私にはそのまま休憩して良いと言い置いたジリオラさんは、手際良く古くなった寝藁を片付けて新しいものへと変えていた。

 新しい寝藁は気持ち良いのか、ジリオラさんが入れ替えた傍から、子竜たちが次々と飛び込んでいく。

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