求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 室内には嬉しそうな鳴き声が響き、とても可愛らしい光景に、心が和んだ。

「竜に触れられるというだけというならば、子竜守は男でも良いんだろうがね。竜力を持つ貴族の中でも、女性の方が竜の雌に似た気を持っているらしいんだよ。母親の方が子が安心するのは、当然のことさね」

「それは……確かに、そうですね」

 子どもが安心するのは、どうしてもお腹を痛めて産んだ母親の方なのだろう。私だってお父様のことは子どもの時も好きだったけれど、お母様の傍が特に落ち着けたことは、思い返してみれば確かにそうだった。

「今日はこれまで一度も働いたことのないご令嬢にしては、良く頑張ったね。ウェンディ。私はてっきり、途中で音を上げてしまうのかと思っていたよ。根性あるじゃないか」

 とっぷりと日が暮れ夜になり、寝藁を取り替え終えれば、子竜たちが可愛い寝息をたてはじめた。

 おそらく、これが子竜守の一日の仕事終わりなのだろう、ジリオラさんは私にそう言ってから、これから使うことになる部屋へと案内してくれた。

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