求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
 なんでもアレイスター竜騎士団には団内恋愛禁止という、設立直後から定められた厳格な規則があるらしい。隠れて恋愛していたとしても、それを明かされてしまうと、竜騎士団も辞めなければならないというかなり厳しい処分が下るそうだ。

 私も仕事を得て思うけれど、慣れた仕事を絶対に失いたくない。だから、未来そうなってしまう可能性を極力排除したいという心理はわかってしまう。

 だから、アレイスター竜騎士団の面々に避けられていても、特には気にならなかった。

 ここを紹介してくれたライルもたまに会ったりもするのだけど、彼は平騎士だから任された雑用なども多く、私同様にとても忙しそうだった。

 だから、辞めなければいけない可能性を持つ私とは一切関わりたくないという姿勢を示すように、竜騎士たちが私に話掛けてくれることはなかった。

 一部の例外を除いては。

「ウェンディ。なんだか、久しぶり~。仕事の調子は、どう?」

 同時に食堂に居れば、一人で食事を取る私に話掛けてくれるのは、副団長のこの人だけだった。

 きらきらしい金髪は差し込む日光に当たり、彼の明るい笑顔を引き立てていた。

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